教職員を代表して学長として一言お祝いの言葉を述べさせていただきます。
保護者の皆さん、お子様をここまでお育てになったご苦労はとうてい計り知ることができませんが、ここまで立派に育った晴れの姿を目の当たりにして、その感慨はひとしおと存じます。本日は本当におめでとうございます。
来賓の皆さん、本日はお忙しい中ご臨席たまわり、まことにありがとうございます。心より御礼申し上げます。
さて、新入生の皆さん。皆さんは、晴れて名古屋音楽大学の一員となりました。
名古屋音楽大学は今から四十五年前の1965年に名古屋音楽短期大学として、ここ名古屋中村、稲葉地の地に設立されました。
ちなみに愛知県立芸術大学の開学は、翌年の1966年です。名古屋音楽大学は音楽系の大学として中部地区でもっとも古い歴史をもつ音楽大学です。
そうした歴史と伝統ある音楽大学に入学したのだ、という自覚と、誇りと、自信を持っていただきたいと思います。
名古屋音楽大学は、開かれた音楽大学を目指しています。
地域の人々に愛される音楽大学として、ここ名古屋中村の地から良質な音楽文化を発信しつづけています。この中村の地は、豊臣秀吉の出身地として有名です。太閤通や千成通など、秀吉にゆかりのある地名が多いことにお気づきかと思います。歴史と文化の伝統が息づく街です。
また、名古屋音楽大学は名古屋市内にある唯一の音楽大学として、名古屋市内の音楽文化シーンにおいても、とりわけ中心的な役割を担うことが期待されています。
名古屋音楽大学は非常に充実した施設と設備そしてキャンパスを持っています。音楽を学ぶ環境は中部地区随一と自負しています。
このキャンパス内のホール、演奏室、教室、レッスン室には合わせて170台、学生約4人に一台のグランドピアノが存在します。その他、管楽器、弦楽器、打楽器をはじめ、筝、三味線、尺八、笙、篳篥などの雅楽器や邦楽器も124台あります。ガムランをはじめ120台を超える民族楽器も存在します。
完全リニューアルしたキャンパスは、学生本位の、学生のことを第一に考えた造りになっています。
めいおんホールのある博聞館の3階にあるアンサンブル室、レッスン室、2階にある練習室ゾーンは、学生証によるカードリーダー認証で自動貸し出し、自動入退出ができる仕組みになっています。学生の安全面にも十分に配慮した使い勝手のよいシステムです。
名古屋音楽大学は図書館も充実しています。音楽関係の書籍、楽譜、レコード、CD、DVDなどの蔵書数は中部地区でナンバーワンです。
新入生の皆さん。ぜひキャンパスの隅々を体験してください。どんどん探検してみてください。わからないことがあったら、先輩たちに気軽に尋ねてみてください。職員の皆さんにも何でも遠慮なく聞いてください。教員の先生方にも遠慮なく相談してください。名古屋音楽大学は開かれた音楽大学です。きっと皆さんの疑問や質問に丁寧にこころよく応えてくれるはずです。
短大開学時の四十五年前の最も古い建物であった旧B号館はその役割を終え姿を消しました。代わってこの1月には新B号館が竣工いたしました。名古屋音楽大学のキャンパスはこの春、完全にリニューアルいたしました。中庭は広く明るくなり、キャンパスのアメニティは抜群によくなりました。
こうした素晴らしいキャンパスを創りあげるにあたっては、保護者の方々、諸先輩方をはじめ、多くの方々のご支援を受けています。建築の設計施工にあたられた関係教職員、工事関係者の皆さんの多大な努力の賜物です。この場を借りて感謝の気持ちを述べさせていただきます。
新入生の皆さん。ほんとうにたくさんの人たちの努力に支えられて実現したこのキャンパスを、どうか大切にしてください。そして思う存分に、そして有効に活用してください。
さて、名古屋音楽大学の設置母体である学校法人同朋学園の建学の精神は、親鸞聖人の教えにあります。わかりやすくいうと、「共なるいのちを生きる」ということです。お互いの違いを認めながら、協同して生きるという意味です。
社会は多様な人々の集まりです。社会にはさまざまな個性をもった人びとが存在しています。多様性があるから社会は進化します。よりよい人間社会を築き上げていくためには、個性の多様性を前提にして、それを尊重しあい、それぞれの長所を活かしあって、協力し合うことが大切です。
音楽も同じです。アンサンブルも室内楽も吹奏楽もオーケストラも、個性の違う他者との協同と響きあいが無ければそもそも成り立ちません。この意味で、音楽はお互いを活かしあうという点にその本質があります。
新入生の皆さん。自分の個性、主体性を見失うことなく、しかも他者とともに生きることをぜひ心がけてください。
皆さんには、音楽に対する洗練された感覚と洞察の眼を持って未来を指向する芸術性ゆたかな人材に育ってほしいと思います。
この名古屋音楽大学のこのキャンパスで、音楽を愛する人たちと出会い、それぞれの音楽に対する感性を大切にしながら、一人ひとりの可能性を伸ばしていってほしいと思います。
私は名音大の強みとして次の5つをあげています。
第一に、アンサンブルする力(共感する力)、第二に、ハーモニーの力(調和する力)、第三に、日々練習し学習する力(学習意欲)、四つめに、達成する意欲、達成する歓びを感じる力(達成欲)、最後に、前向きに努力する心(ポジティブ志向)。
新入生の皆さん。日々練習に励み、個の力を磨いてください。自分の個性の強みを発見し、認識し、日々鍛錬してください。個の力を磨くことで、ハーモニーはより素晴らしいものになります。個性の違う他者との協同と響きあいとしてのアンサンブルは、磨き抜かれた個が集まることでよりいっそう素晴らしいものになります。常に前向きに努力し、アンサンブルする心を忘れずに、達成する喜びを味わうことの充実感を学んでください。音楽を通じて、「共なるいのち」の響き合いを感じる力を身につけてください。
私は学長として、皆さんの学生生活が充実したものとなるよう、精一杯の応援をしたいと思います。
入学おめでとう。充実した学生生活を送ってください。
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