2016/03/17

3月17日(木)晴。 〜卒業式〜

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すこぶる快晴。今日は日中の最高温度20度の予想。卒業式にふさわしい好天となった。日頃の行いに感謝。



10時30分より、卒業証書・学位記授与式が挙行された。




卒業式「学長式辞」(名古屋音楽大学平成27年度卒業証書・学位記授与式/2016年3月17日)

「保護者の皆さま。本日は本当におめでとうございます。心よりお慶び申し上げます。来賓の皆さま。本日はご多忙中にもかかわらずご臨席たまわりまことにありがとうございます。心より御礼申し上げます。

音楽学部卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
大学院音楽研究科修了生の皆さん、修士課程修了おめでとうございます。
みなさんの晴れの門出にあたり、学長として一言お祝いの言葉を述べさせていただきます。

さて、今年度、名古屋音楽大学は創立50周年を迎えました。1965年に名古屋音楽短期大学として創設されて以来、半世紀が経ちました。皆さんは50周年という節目となる記念すべき年にこの名古屋音楽大学を卒業、修了します。来年度、愛知県立芸術大学が創立50周年を迎えます。その前年に創立された本学は中部日本で最も古い歴史と伝統を持つ音楽大学です。西暦2000年以降、本学は新しい時代に対応する音楽大学として、多様なジャンルの音楽への取り組みを強めてまいりました。歴史と伝統に安住することなく、ますます進化し続ける音楽大学として、これからも名古屋音楽大学は発展し続けます。

卒業生の皆さん。皆さんはこうした輝かしい歴史と伝統に支えられながら、新しい時代にも果敢に対応していく、そういう音楽大学において日々を過ごし、学びそして成長しました。本学を卒業した皆さんは、社会人としての基礎的な力と同時に、音楽の専門課程を修了し、音楽の専門人としての力を身につけました。音楽を職業とするか否かにかかわらず、皆さんは名古屋音楽大学を卒業した音楽の専門人として世の中に出て行くことになります。

ところで、音楽という専門を学ぶ意味とは何でしょうか。専門を究めるわけですから、技術を磨く、うまくなるということはもちろん大切です。しかし、何のために技術を磨くのか、上手くなっていったい何をどうするのか、ということはもっと大切です。
私は、音楽は「伝える」ものだと考えています。「伝わる」ことに音楽の本質があると考えています。もちろん、伝え方には様々な方法があり、伝わり方も様々です。
人間は、多様性をもっていますが、人間の営みとしての音楽もまた多様性をもっています。

さて、本学の建学の精神は「共なるいのちを生きる」です。これを英語で“Living together in diversity”と表現しています。ダイバーシティとは多様性のことです。“Living together in diversity”とは、「多様な他者と」共に生きるという意味です。
様々な音楽が様々な人々に様々に伝わるだけでは、多様な他者と「共に」生きているということには必ずしもなりません。多様な音楽が多様な人々に「共通して」伝わるには、音楽は何らかの普遍性を獲得しなければなりません。多様な他者に「共に」伝わるだけの普遍性、ユニバーサリティが必要です。では、そのような普遍性はどのように獲得されるのでしょうか。

多様な人間は、共に「生きる」存在です。私たちが、何らかの普遍性に近づくことができるのは、この「生きる」という営みの中においてです。多様な他者が「共に」生きる社会を実現する上で鍵となるのは、 “emergence”、「創発性」という概念です。エマージェンスとは、ある辞書では、「要素間の局所的な相互作用が全体に影響を与え、その全体が個々の要素に影響を与えることによって、新たな秩序が形成される現象」*とあり、また別の辞典には、「個々人の能力や発想を組み合わせて創造的な成果に結びつける取り組み」**とあります。創発、エマージェンスとは、「部分の性質の単純な総和にとどまらない性質が、全体として現れること」***を意味します。

オーケストラやオペラにおいては、まさしく個々の「部分の性質の単純な総和にとどまらない性質が、全体として現れ」ます。皆さんは音楽の様々なアンサンブル演奏を通して、きっとそうした体験を実感していると思います。それは、多様な人間の個々の営みが相互作用することで全体にかかわる普遍性が生み出される瞬間です。

すなわち、個々人が相互作用することが全体に影響を与えるのですが、それは個々人の単純な総和を超えたものとして現れるということです。そしてその全体の性質がさらに個々人の性質に影響を与えます。“Living together in diversity”、多様な他者と「共に」生きるとは、こうした個々人の相互作用による創発性を大切にすることで、全体にかかわる普遍性を生み出していく営みだといえます。

皆さんは音楽という専門を究めることで、こうした創発性、すなわち人間力を鍛えてきました。これから社会の中で、音楽という専門能力をもつ社会人・職業人としての役割だけでなく、音楽を通じて鍛えられた創発性、人間力を発揮することが期待されています。人間としてのますますの鍛錬と社会での活躍を心から期待しています。

音楽を通じて身につけた専門力を、音楽を通じて身につけた人間力を、ぜひ自分という個のために活かしてください。他者という個のために活かしてください。そして多様な個々人との相互作用による創発性を通じてより普遍的な社会を実現する方向で生きてください。

本日、めいおん卒業生として、こうして立派に成長したみなさんを世に送り出せることを、学長として心の底から誇りに思っています。

卒業おめでとう。そして、ありがとう。」

(文中の引用はそれぞれ*『デジタル大辞泉』 **『人事労務用語辞典』 *** Wikipedia「創発」より)


学長就任以来、7回目の卒業式。学長式辞も今日が最後である。

せっかくなので、過去の卒業式での「学長のことば」のリンクを作成。ご興味のある方は下記リンク先にてお読みください。
卒業式「学長のことば」(平成21年度卒業証書・学位記授与式/2010年3月19日)
卒業式「学長のことば」(平成22年度卒業証書・学位記授与式/2011年3月22日)
卒業式「学長のことば」(平成23年度卒業証書・学位記授与式/2012年3月19日)
卒業式「学長のことば」(平成24年度卒業証書・学位記授与式/2013年3月19日)
卒業式「学長のことば」(平成25年度卒業証書・学位記授与式/2014年3月19日)
卒業式「学長のことば」(平成26年度卒業証書・学位記授与式/2015年3月18日)

さて、眩しい日差しの中での写真撮影を終えて、12時45分から、在学生の実行委員によるフェアウェルパーティが行われた。



最初に、卒業生の演奏。立派な演奏力に脱帽。めいおんでたくさん学んだ成果を思いっきり披露してくれました。




在学生と卒業生の演奏が次々と続く。






楽しい演奏が続き、フェアウェルパーティは盛況のうちに幕を閉じた。

夜は、謝恩会に出席。




素敵な一日をいただきました。ありがとう。



専門を究める。人間力を鍛える。
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since 1965-
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名古屋音楽大学は創立50周年を迎えました

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